韓国語学習記事
韓国語「낫다」と「낳다」の書き分け
治るのか産むのか
「治る」の낫다と「産む」の낳다は、過去形(나았어요・낳았어요)の発音が近く混同されやすい語です。国立国語院の標準国語大辞典と「한글 맞춤법」(ハングル正書法)の一次資料をもとに、意味と活用規則の違いを整理します。
낫다と낳다の意味の違いと語幹末のパッチム
病気や傷が治るという意味では「낫다」、子・卵などを産むという意味では「낳다」と書きます。語幹末のパッチムが違う、別の単語です。
国立国語院 標準国語大辞典は「낫다」を動詞として登録し、「병이나 상처 따위가 고쳐져 본래대로 되다(病気や傷などが治って元通りになる)」という語義を示しています。
同じ辞典で「낳다」も動詞として登録され、「뱃속의 아이, 새끼, 알을 몸 밖으로 내놓다(腹の中の子・子動物・卵を体の外に出す)」という語義が示されています。二つは意味が違い、語幹末のパッチム(ㅅとㅎ)も違う別の単語です。
治るという意味では語幹末がㅅパッチムの「낫다」を使います。「낳다」は子・卵などを産むという別の意味の語です。
→ 감기가 다 나았어요.
産むという意味では語幹末がㅎパッチムの「낳다」を使います。「낫다」は病気や傷が治るという別の意味の語です。
→ 친구가 아이를 낳았어요.
混同される理由:活用形の発音が近い
낫다の過去形나았어요と낳다の過去形낳았어요は、どちらも近い発音になり、耳で聞くと区別しにくくなります。
한글 맞춤법 第18項第2号は、語幹末のパッチム「ㅅ」が、母音で始まる語尾の前で発音に現れなくなる用言を扱っています。例として긋다・낫다・잇다・짓다を挙げ、「나타나지 않는 대로 적는다(現れないとおりに書く)」と定めています。낫다の活用形は나아・나으니・나았다で、母音語尾の前でㅅが脱落します。
一方、第18項第3号は「형용사의 어간 끝 받침 'ㅎ'(形容詞の語幹末尾のパッチム「ㅎ」)」が母音で始まる語尾の前で現れない場合の規定で、対象を형용사に限定し、그렇다・까맣다を例に挙げています。動詞の낳다はこの형용사限定の規定の対象に含まれないため、語幹「낳-」と語尾がそのまま結合します(낳아・낳았다)。
| 表現・分類 | 中心となる意味 | 見分ける箇所 |
|---|---|---|
| 낫다 | 治る(動詞) | 語幹末のㅅが母音語尾の前で脱落する不規則活用。나아・나으니・나았다 |
| 낳다 | 産む(動詞) | 語幹末のㅎパッチムに関する第18項第3号の規定は形容詞限定で対象外。낳아・낳았다とそのまま結合 |
使い分けを例文で確認する
実際の文で比べると、낫다は体調・状態の回復、낳다は出産という、意味の異なる場面で使われることが分かります。
감기가 다 나았어요.
風邪がすっかり治りました。
治るという意味の낫다の過去形です。친구가 어제 아기를 낳았어요.
友人が昨日赤ちゃんを産みました。
産むという意味の낳다の過去形です。상처가 낫고 있어요.
傷が治りつつあります。
낫다に-고 있다を付けた進行形です。낳다とは意味も活用も異なります。「며칠」と「몇일」の書き分けを確認する → / 「부치다」と「붙이다」の書き分けを確認する → / 問題で낫다・낳다の使い方を確認する →
もう一つの紛らわしい語「낮다」|基本形の発音は낫다と同じ[낟따]
形容詞の낮다(低い)は、パッチム「ㅈ」が語末や子音の前で代表音[ㄷ]になるため、낫다と同じ[낟따]と発音されます。ただし낮다は活用してもㅈが残り、낫다のようにㅅが脱落しません。
国立国語院 표준 발음법 第9項の解説は、「ㅅ, ㅆ, ㅈ, ㅊ, ㅌ」が[ㄷ]に変わる例として「낫, 낮, 낯, 낱과 같은 단어들은 받침이 다르게 쓰였더라도 어말이나 자음 앞에서는 모두 동일하게 [낟]으로 발음되는 것이다」と説明しています。낫다と낮다は、基本形の段階で発音が一致します。
標準国語大辞典は「낮다」を形容詞として登録し、「아래에서 위까지의 높이가 기준이 되는 대상이나 보통 정도에 미치지 못하는 상태에 있다(下から上までの高さが基準となる対象や普通の程度に及ばない状態にある)」という語義、発音[낟따]、活用「낮아[나자], 낮으니[나즈니]」を示しています。反対語は높다です。
活用形では違いがはっきりします。낫다は母音語尾の前でㅅが現れず나아・나으니となりますが、낮다は낮아[나자]・낮으니[나즈니]のようにㅈが現れ、綴りも낮아・낮으니のままです。
| 表現・分類 | 中心となる意味 | 見分ける箇所 |
|---|---|---|
| 낫다 | 治る(動詞) | 基本形は[낟따]。母音語尾の前でㅅが脱落し나아・나으니 |
| 낮다 | 低い(形容詞) | 基本形は[낟따]で낫다と同じ。母音語尾の前でもㅈが残り낮아[나자]・낮으니[나즈니] |
이 구두는 굽이 낮아요.
この靴はヒールが低いです。
形容詞の낮다です。낮아[나자요]とㅈが現れます。감기가 빨리 나았어요.
風邪が早く治りました。
動詞の낫다で、ㅅが脱落して나았어요になります。「低い」を意味する語は形容詞の「낮다」で、標準国語大辞典の活用表記は「낮아, 낮으니」です。낫다は病気や傷が治るという別の語です。
→ 구두 굽이 낮아요.
参照した資料
この記事の日本語説明と例文は語学ドリルが作成したものです。
- 国立国語院 標準国語大辞典「낮다」「형용사」「1」아래에서 위까지의 높이가 기준이 되는 대상이나 보통 정도에 미치지 못하는 상태에 있다. という語義、発音[낟따]、活用「낮아[나자], 낮으니[나즈니]」、反対語「높다」を確認。
- 国立国語院 표준 발음법 第9項第9項の解説で、「낫, 낮, 낯, 낱」は받침が違っても어말・자음 앞でいずれも[낟]と発音されることを確認。
- 国立国語院 標準国語大辞典「낫다」「동사」「1」병이나 상처 따위가 고쳐져 본래대로 되다. という語義を確認。
- 国立国語院 標準国語大辞典「낳다」「동사」「1」뱃속의 아이, 새끼, 알을 몸 밖으로 내놓다. という語義を確認。
- 国立国語院 한글 맞춤법 第18項第2号は語幹末のパッチム「ㅅ」が母音で始まる語尾の前で現れない用言の例として긋다・낫다・잇다・짓다を挙げ、낫다の活用形として나아・나으니・나았다を示す。第3号は「형용사의 어간 끝 받침 'ㅎ'」が母音で始まる語尾の前で現れない場合の規定で、対象を형용사に限定し、그렇다・까맣다を例に挙げており、動詞は対象に含まれないことを確認。
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